「……」 「? どうした、そんな神妙な顔して。火通ってなかったか」 「いや、なんか朝からずっと腹痛くて……」 「何か傷んだものでも食べたか」 「それはない、と思う」 「薬は?」 「うち湿布と絆創膏ぐらいしかないから……」 「寧ろ何でそれはあるんだ」 「昔の残りで。テーピングも余ってて使い所が…いっ、たたたた」 「おい、大丈夫か」 「やばい、痛いって言ったら急に痛くなってきた」 「とりあえずベッドに……いや、その調子なら病院か」 「ええー、行きたくない。何かあったら嫌だ……」 「その何かのために行くんだろう。保険証あるか」 「財布の中……」 「……原因がわかったほうが安心するだろ。とりあえず、カイロ。温めたら少しは楽になるんじゃないか」 「……ん」

(盲腸だった)(温めてはいけない)