もしもいつか手にしたものをなくしたとして、それでも変わらないものはあると思ってた。地位も名声もヘッズの奴らも、あるいは武雷管という枠ですら、その喪失がお前からヒップホップを取り上げる瑕にはなりえないのだと疑いもしなかった。だって俺たちがいなくても当たり前に世界は回る。空いた席には他の誰かが座るだろうし、流行だってすぐに移り変わる。曲も幻影も新しく生まれては変わっていく。それを大人しく指咥えて見てるようなタマじゃないだろ。どうせすぐに何か作りたくなるに決まってる。結局、お前はヒップホップからは離れられない。だから場所や形が変わっても、それこそ俺がいなくたって、お前は好きにやると思ってた。いつか手にしたものをなくしたとして、そんなことがあるとしても、それだけは変わるはずはないと思ってた。本当に、そう思ってたんだよ。
(2022-11-6)